ヴィリ・ボスコフスキー( Willi Boskovsky )
ロンドン・コンサート・オーケストラ
・1978年3月4日 | 席 テラス H-46/47 | 値段 £3.50 |
Johann Strauss II | Wein,Weib und Gesang,Waltzer.Op.333 | |
Johann Strauss II | Annen-Polka,Op117 | |
Josef Strauss | Im Fluge,Polka Schnell.Op.230 | |
Josef Strauss | Dorfschwalben aus Oesterreich,Waltzer. Op.164 | |
Johann Strauss II | Persicher Marsch,Op.289 | |
Franz von Suppe | Overtuere:Dichter und Bauer | |
Carl Michael Zieler | Herreinspaziert!,Waltzer.Op.518 | |
Josef Strauss | Frauenherz,Polka Mazur.Op166 | |
Johann Strauss II | Banditen-Galopp.Op.378 | |
Johann Strauss II | Kuenstlerleben,Waltzer.Op316 | |
Johann Strauss II | Champagner-Polka.Op.211 | |
Franz Lehar | Gold und Silber,Waltzer.Op.79 |
ここで ボスコフスキー を名指揮者として採り上げるのは、26年間の
ニューイヤー・コンサートを指揮して、一つの時代と様式を創った人だと確信するからです。
彼がニューイヤー・コンサートを振ったのは1979年まで。ですから、我が家が聴いた
1979年の大晦日コンサートが ロリン・マゼール の初登場だったのでした。
三回の年末をヴィーンで過ごした我が家ですが、年末休暇の日程上から、1月1日には
ロンドンに帰らざるをえず、78年・79年ともに ボスコフスキー の
新年演奏会を聴き逃したのは甚だ残念ではありました。
さて今夕の演奏ですが、特徴を挙げれば、
- 歯切れの良いポルカ・シュネル(早いポルカ=Im Fluge)、
- 小粋なポルカ・フランセーズ(フランス風ゆったりしたポルカ=Annen-Polka)、
- 詩情豊かなヨゼフのワルツ(Dorfschwalben aus Oesterreich)、
- 女性の長い裾が身体の動きからやや遅れて回るようなワルツ(Kuenstlerleben)
- 時にオケを煽りあげるような(Dichter und Bauer)、
- 上質軽音楽の雰囲気たっぷりにガシャガシャする(Herreinspaziert!)
曲それぞれの描き分けも十全で、時にヴァイオリンを弾きながらの指揮姿も好ましく、 大いに楽しいコンサート。アンコールは当然にドナウ・ワルツと観客の手拍子入りラデツキー。 遂に聴けなかった ヴィーンフィル/ボスコフスキー のコンビに代わっての 今回の演奏会は、これはこれで大いに楽しいものでした。
このロンドン・コンサート・オーケストラという楽団は、1972年設立で所謂
ライト・クラシックを専門とするもの。ボスコフスキー指揮で聴く前の
2月11日には、クイーン・エリザベス・ホールでの、“THE MUSIC OF FRANZ LAHAR”
(指揮:マーカス・ドッド)というコンサートを聴いています(席:1-S-8/9 ・値段:£2.90)。
今回・前回ともに、レイモンド・ギャビー というプロデューサーによる興行ですが、
このプロダクションは、聴きには行きませんでしたが、各種似たようなコンサートを開いていました。
ロンドンの聴衆はヴィーンものが好きなようで、リゴリスティックな一面と、楽しむ術と
心得た独特の成熟した一面があったと思います。
上記二つのヴィーン物以外でも、大オーケストラや小アンサンブルが下記のお楽しみコンサートを
開いていたのを聴きました。
- Johann Strausu Orchestra,Cond.:Jack Rothstein、
- クイーン・エリザベス・ ホール。
シュトラウス、レハール他。
席:1-D-25/26 値段:£2.80 - London Symphony Orchestra,Cond.:Bernard Keefee、
- ロイヤル・フェスティヴァル・ホール。
シュトラウス、ワルトトイフェル、オッフェンバッハ他。
席:1-H-34/39 値段:£3.00 - Royal Philharmonic Orchestra,Cond.:Alun Francis、
- ロイヤル・フェスティヴァル・ホール。
シュトラウスとレハール。
席:1-M-8 値段:£3.85
時間が取れれば行けるものに行く、そんな切符の取り方でしたが、三年間に合計五回の
ヴィーン物中心のコンサートとは、数としては決して少ない方ではない。
ROHやENOのオペレッタの採り上げ数と併せて見ると、ロンドンの聴衆の
ヴィーン好きもなかなかのものだと思ったのでした。
その後に ボスコフスキー の指揮を聴いたのは、帰国後の日本フィルとの シュトラウス・ファミリーの演奏会(人見記念講堂)の一回だけ。こうなると、年末 ヴィーン行きの時に、一回でも良いから元旦まで休暇を伸ばしてニュー・イヤー・コンサートを 聴いておくべきだったと悔やむことしきりです。