オイゲン・ヨッフム(Eugen Jochum)
ロンドン交響楽団
・1978年10月10日 | 席 1-G-11 | 値段 £4.25 |
Mozart | Symphony No.33 in B flat major,K.319 | |
Schumann | Piano Concerto in A minor,Op.54 (Maurizio Pollini, Piano) | |
Beeethoven | Symphony No.8,in F major,Op.93 |
冒頭の モーツァルト の第一楽章では、弦の表情に統一感がなく、一部にがたがた していたようでしたが、今夕の華は ポリーニ の シューマン でしょう。
全編を貫く硬質でクリアな音色、クリアでありながら冷たくならない詩情。
整然とした音の並び、整然でありながら静的にならない力感。繊細な郷愁感と
哄笑にまでは至らない微笑の交錯。最終楽章の確かな推進力も決してがたがたせず、
微笑を湛えながら乱れの無い確かな足取りで終始する。
ポリーニ につけるオーケストラも、やや重い音色感ながら、
それが却って ポリーニ の独特の透明な色彩を際立たせて、
「ピアノとの会話」を際立たせていました。これは凄いものを聴いた、
そんな印象が強く残っています。
最後の ベートーヴェン は、これこそがドイツの音と言えるでしょう。 第一楽章冒頭の音からして、重厚な低音を基調とする。それでいて過度にならない 抑制の聴いた弾性感が全編を支配する。重厚にならないスケルツォのユーモア感 も適度だし、最終楽章のこれも抑制に聴いた重厚さも大いに聞き物でした。
当時のロンドン交響楽団は、Principal Conductor が アンドレ・プレヴィンで、 Principal Guest Conductors にクラウディオ・アバド と コリン・デイヴィス 、 そしてConductor Laureateが オイゲン・ヨッフム という布陣でしたが、 ヨッフム を聴いたのは今夕だけ。デイヴィス は聴けず (ROHのオペラはかなり聴いた)、首席指揮者プレヴィン は4回聴きましたが、 在ロンドンのオーケストラの中で、機能性と重量感を最高に両立させたロンドン響と ヨッフム の組み合わせを,もっと聴きたかったと今でも思っています。
私の在ロンドン中に聴いた ヨッフム は、今夕以外は、思い出記本編に書いた ベルリン・ドイツ・オペラの『フィデリオ』だけ。
帰国後は、
バンベルク響 | 1982/9/15 NHKホール | ブルックナー | 8番 |
1982/9/16 東京文化会館 | ベートーヴェン | コリオラン | |
6,7番 | |||
コンセルトヘボウ | 1986/9/16 人見記念講堂 | モーツァルト | 33番 |
ブルックナー | 7番 |
あの素朴で雄大な音楽には、もう接することが出来ないのですね。